そもそもの「虚空」のアイデアについて。


第一回目の「虚空」の為の文章より。

《いわゆる「普通の音楽」を期待した場合、それがコントラバスのソロ演奏では不可能であるのは言うまでもありません。
つまり「普通」とは違った音楽の創り方、聴き方をしなければ成り立たない音楽形態なのは明らかです。

ふと,ある時、私は気づきました。
そもそも音楽は幾つかの異なる現象により成り立っていて、その一つは聞き手の想像力そのものである、と。
演奏者の出す音を通してそれに意味や価値を与えるのは聞き手自身なのです。
我々人間には想像する力があり、見えていないもの、聴こえていないものを、語られていない物語等 補完して楽しんだりできる能力があるからです。
つまるところコントラバスのソロ演奏の一つの大きな武器は多くの事を「物理的」に盛り込めない代わりに、聞き手が自らの想像力を味わう余地を十分に与えられるというところにあるように思います。

”舞台上の音楽家は最小限、音楽への想像力は最大限”

こういう音楽のあり方や接し方があっても良いじゃないか、と私は思います。
最終的に私がしたいのはオルタナティブな選択肢の提案なのかもしれません。

だからこそ「普通」というあり方に疑問を感じている人には是非聴きに来て頂きたく思っています。》